こんにちはこんばんは、えるです
今日は、西加奈子:著 「通天閣」をよみおわり面白かったので魅力を解説していきます。
MEMO
・日常を楽しめる人にオススメ
・何も考えずに読み進めたい人にオススメ
作品概要

本:「通天閣」
著:西加奈子
発売:2009年12月9日
解説
『さくら』で彗星のように華やかなデビューを飾った西加奈子の第4作にあたる長編小説
冬の大阪ミナミの町を舞台にして、若々しく勢いのある文体で、人情の機微がていねいに描かれていく
天性の物語作者ならではの語り口に、最初から最後までグイグイと引き込まれるように読み進み、クライマックスでは深い感動が訪れる
このしょーもない世の中に、救いようのない人生に、ささやかだけど暖かい灯をともす絶望と再生の物語
この作品で第24回織田作之助賞を受賞している
以前記事にした、「こ゚本、出しときますね?」で登場した西加奈子さんの著書
「こ゚本、出しときますね?」に出ていて著書に興味が湧いたので購入
一応記事にもしているので、是非どうぞ
著者の作品に触れるのは、初めてでしたが登場キャラがとても魅力的で読んでいて
とても魅力的で面白かった
西加奈子さんの著書は初めて購入するので調べて見ると
1977年、テヘラン生まれ。2004年『あおい』(小学館)でデビュー
05年、『さくら』(小学館、のちに小学館文庫)がベストセラーに
07年、『通天閣』(筑摩書房、のちにちくま文庫)で織田作之助賞を受賞
13年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞、
15年に『サラバ!』で直木賞を受賞。他の小説作品に『きいろいゾウ』『しずく』『窓の魚』『炎上する君』『円卓』『漁港の肉子ちゃん』など

今作、通天閣は
大阪の通天閣周辺の新世界あたりを舞台に
2人の主人公を軸に話が進んで行きます
①男主人公
工場でライト兄弟という百円ショップ等に卸す、
大小ふたつの懐中電灯がセットになったものなどを組み立てや梱包作業をしている
コンビニの蕎麦とお稲荷さんセットを食べつづけて、脚気になる
生きる気力を失い、消化試合のように日々を過ごす毎日
②女主人公
スナックに勤める女性
彼氏がいるが、映像作家になるためにニューヨークにいる
彼氏の気を引きたいためと、彼氏と同棲して住んでいた家賃を1人で賄うためにスナックで働いている
本当にどこにでもいそうなそんな2人の人物を中心に物語は進んでいく
傍目から見ると微妙な感じに思えるが、接するといいところもあると感じるような人柄で魅力を感じる
舞台も西加奈子さんが、関西育ちなのでとても雰囲気が伝わりよかった
通天閣の魅力とは・・・
・何気ない日常かもしれないが、その人なりのストーリーがある
・登場人物の日常を丁寧に描写
と個人的に感じた

このお話は
1~20章に大きく別れている
奇数は男主人公/偶数は女主人公というように入れ替わりながら話が進んでいく
章の始まりには太字で、主人公の過去の回想が入ることでどういう経験をし何を見てきたのかというのが説明される
本編では、現在の時間軸に戻り日常を通して読者が追体験していく形
個人的には、男主人公の日常が面白かった

初めは何気ない日常で少々退屈に思うかもしれない
しかし話が進むに連れて、面白くなっていく
日々淡々と過ごしている男主人公が、蕎麦と稲荷のセットを食べたいのを我慢しつつ塩焼きそばを食べに店に行く
店では、店員に覚えられていて注文をするときにいつものですね。と言われるほど通っている
人生に絶望しているのだが、店員さんのことを何気に女性と意識していてるのが人間味があってとても良かった
斜に構えているのに、自意識過剰な所が主人公の性格に上手に肉付けされていて
キャラクターに厚みが出ているのがとてもうまい
女性主人公も、こんな場末のスナックで個性的な人に囲まれながら、なんとかして彼氏に帰国してほしいと願うが
素直に伝えられず男性が思い描く、影から支える女性像を演出している

また、男主人公より女性主人公のほうが、彼氏がいない間の女性の日常生活を描写しているところが多いのでとても親近感が湧く存在のように思える
そんなどこにでもあるような、日常を過ごす主人公たちだったが
日常に変化が訪れる
男主人公では、職場に新人が入る
女主人公では、彼氏からの連絡
そしてそれぞれの日常は変わっていく

この変化も、ありふれたものなのがいい
例えるなら、学生のときに転校生が来ることで日常に新たな変化が訪れるような
いつもの日常が新しい要素だが、誰にでも起こることなので違和感なくすんなりと読める
物語の結末を迎えるが、それぞれ変わらず当たり前だった日常が続いて行くことになるんだろうなと感じれるような
そんなある寒い時期のお話
通天閣というストーリーを読み進めていくうえで
とてもスッキリするというか納得が行く終わりで読み切った後
いいお話を読んだなという読了感がありました
以上
最後まで読んでありがとうございます。
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また、他にも変な恋愛を集めた「変愛小説集」の魅力をまとめた記事や
朝井リョウさんの書かれている「正欲」の記事もありますので、ぜひ~
おしまい~
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